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#050 *~からこそ/~ばこそ

050 *~からこそ/~ばこそ 名詞    : だ/である         +  からこそ 動詞・形容詞:普通形<ナ形ーだ/である> 名詞    : であれば/なら       +  こそ 動詞・形容詞:仮定形<ナ形ーであれば/なら> ♪ 会話 ♪ 良子:心配してると思えばこそ、こうして電話してるのに、いきなり怒鳴りつけることもないでしょ。 李 :一体全体、今何時だと思ってるんだ。帰りが遅すぎるから、何かあったのかと心配してたんだぞ。 良子:それにしても、もう少し優しく話してくれたっていいんじゃないの? ♯ 解説 ♭  「~からこそ/~ばこそ」は、どちらも「正に~だから~」と原因・理由を強調する表現です。副助詞「こそ」と結びついて、文末が「~んです」と呼応するのが特徴です。「~からこそ」と「~<仮定形>ばこそ」の多くは置き換え可能ですが、仮定形の「~ば」は文末に完了形(「た」形)がとれない制約があるため、例文4、5のような場合は不自然になります。  君が来いと ○言ったからこそ 僕は来たんだ。        ×言えばこそ § 例文 § 1.親は子を愛するからこそ、厳しくしかることもある。 2.健康だからこそ、幸せな日々が過ごせるのよ。 3.君のことを心配すればこそ、注意しているんです。 4.この作品は、妻の協力があったからこそ完成したのです。 5.私の話に耳を貸さなかったからこそ、失敗したんだ。こうなっては、もう取り返しがつかない。 ★ 例題 ★ 1) 苦し(さ/み)が多いほど、また喜びも大きい。そして、悲し(さ/み)が多いほど、人に優しくなれる。このように人生は、表裏一体だ(からこそ/からには)おもしろいんじゃないか。 2) 希望が(ある→    )ばこそ、人は(生きる→       )いけるんじゃないでしょう( )。 (^^)前課の解答(^^) 1) から言えば/ほど/は 2) から/が/か

#049 *~から言うと/*~から言えば/*~から言って

049 *~から言うと/*~から言えば/*~から言って 名詞: ×   +  から言うと            から言えば            から言って ♪ 会話 ♪ 李 :営業担当として言わせていただくと、新製品の開発はできるだけ急いでいただきたいです。 佐藤:今一歩のところまで来てはいるんですが、現状から言って、もう一ヶ月程度はみてください。 課長:他社に先を越されては困るし、かといって品質に問題があっても困る。とにかく、部長の指示を仰ごう。 ♯ 解説 ♭  「~から言うと/*~から言えば/*~から言って」は「~ の観点から判断して言えば ~」という意味で、用法の差はありませんが、仮定の「と/ば」がないため、「~から言って」は断定に近い語感になります。  同義表現に「~から見ると/~から見れば/~から見て/~から見たら」(→文型059)、「~からすると/~からすれば/~からして」(→文型052)がありますから、各項を参照してください。 § 例文 § 1.A社の製品は、デザインから言えばB社に勝るが、実用性から言えば劣っている。 2.彼の性格から言って、その程度のことでくよくよしたりしないでしょう。 3.健康という観点から言えば、激しい運動は「百害あって一利なし」です。 4.この成績から言うと、○○大学は少し無理かと思う。 5.交渉の進展状況から言って、今夜が山場になるだろう。 ★ 例題 ★ 1) 親の気持ち(から言えば/からと言って)、血を分けた自分の子供(ほど/しか)大切なもの(は/が)ない。 2) 気候( )( )言うと、北海道の方( )北京より寒いんじゃない( )と思える。 (^^)前課の解答(^^) 1) する/なんて(→文型274)/だい(→文型129) 2) に(→文型402)/覚え(~切る→文型067)/が(自V)

#048 ~からある/~からする/~からの

048 ~からある/~からする/~からの 数詞: ×  +  からある          からする          からの + 名詞 ♪ 会話 ♪ 山田:例の他社から引き抜かれて来た彼、懸案だった○○物産を見事に開拓しちゃったよ。やはり凄腕だよ。 李 :「営業の鬼」と言われる人物だけあるねえ。今まで10人からの営業が当たっても無理だったのにねえ。 山田:その報賞として、社長から金一封と50万円からする時計をもらったそうだ。 ♯ 解説 ♭  これらの文型の用法は「~を越える~」「~以上ある~」という意味を表します。話者とって数量がとても多いと感じられるとき使われる文型で、距離・重量・高さなどには「~からある」、金額には「~からする」、人数には「~からの人」が使われます。  例えば実際は二万円でも、その数量をどう感じるかで表現は異なります。   二万円ぽっちの時計 <その時計をとても安いと感じている>   二万円しかない時計 <その時計を安いと感じている>   二万円ばかりする時計<その時計を少し高いと感じている>   二万円からする時計 <その時計をとても高いと感じている> § 例文 § 1.彼は50キロからあるバーベルを軽々と持ち上げた。 2.この骨董品は明代の物で、買うとなると50万円からします。 3.この前の地震では、二万人からの人々が家を失い、五千人からの人が死にました。 4.この湖は、深いところは三百メートルからあります。 5.数名しか採用しない会社の社員募集に、五百人からの人が応募した。 ★ 例題 ★ 1) 二億円から(ある/する)絵画をぽんと買っていく(なんか/なんて)、一体どんな人なん(だい/かい)? 2) 日本人が中学まで( )習う教育漢字だけで881字からある。非漢字圏の学生たちから、とても(覚える→   )切れないという悲鳴( )聞こえてくる。 (^^)前課の解答(^^) 1) として(→文型237)/かもしれない/は 2) で/に(「へ」も可)/入れ(V〔ます〕形+なさい)

#047 *~かもしれない/~かもわからない

047 *~かもしれない/~かもわからない 名詞    :  ×       +  かもしれない 動詞・形容詞:普通形<ナ形 ー×>   かもわからない ♪ 会話 ♪ 小平:難しいかもしれないけれど、私立の○○中学を受験してみようかと思うんだ。お母さん、いい? 良子:えっ?あの有名な○○中学? 小平:もしかしたら、合格の可能性もあるかもわからないと、先生が言ってくれたんだ。 良子:わかったわ。駄目でもともと、やってみたら? ♯ 解説 ♭  「~かもしれない」は初級文型ですが、「~かもわからない」の形もあって意味も用法も変わりません。関連表現を挙げれば、可能性が高いと思えば「~だろう」、ほぼ確実だと思えば「~はずだ」が使われます。   明日は雨が降るかもしれない。   明日は雨が降るだろう(60~80%)   明日は雨が降るはずだ(95~99%)  以上は知的推量に属しますが、人間の五感に基づいて感覚的に推量するときは「~ようだ/~そうだ/~らしい」(→資料「)が使われます。例えば、人の額に触って「熱があるようだ」とは言っても、「熱があるだろう」とは言えません。 § 例文 § 1.帰りが遅すぎる。娘の身に何かあったのかもしれない。 2.そう言えば、そんなことを言ったかもしれないなあ。 3.ずいぶん勝手な奴だとお思いになるかもしれませんが、先日の話は一旦白紙に戻していただけないでしょうか。 4.一時父は重体で、もう助からないかもしれないと思ったが、どうやら峠は越したようだ。 5.ひょっとしたら、行方不明の息子が帰ってくるかもしれないと思って、部屋はそのままにしてあるんです。 ★ 例題 ★ 1) 机上の理論(として/にとって)は成立する(はずだ/かもしれない)が、現実から(は/が)遊離した空論だ。 2) 旅先( )何があるかもわからないから、その際はここ( )電話を(入れる→     )なさい。 (^^)前課の解答(^^) 1) まもなく/はず(→文型367)/入り次第(→文型111)/ただちに 2) と(内容の引用)/乗り(→文型094)/へ(~へと→文型387)

#046 ~が早いか

046 ~が早いか 動詞:原形  +  が早いか ♪ 会話 ♪ 李 :小平のしつけがなってないなあ。座るが早いか、「いただきます」も言わないで夕食に食らいついたぞ。 良子:あなたって家に帰ってくるが早いか私に小言ですか。あなたにも半分は責任があるのよ。 李 :坊主、雲行きが怪しいと思ったのか、食事が終わるが早いか逃げ出していったよ。 ♯ 解説 ♭  「~が早いか」は「~すると、すぐ~」を意味します。「~が早いか」は動作の同時発生を強調する点に特徴があり、以下のような自然現象や状態発生に使うと不自然になります。また、現実に起こった既定事実描写なので、後件で「~たい・~つもりだ・~だろう」などの意志・推量表現は使えません。→例題1)   家に帰るか帰らないうちに(?帰るが早いか)、雨が降りだした。   帰ったとたんに(×帰るが早いか)、涙が出てきた。  同義表現は多くありますから、「~か~ないかのうちに」( → 文型042 )の項を参照してください。 § 例文 § 1.ベルが鳴るが早いか、彼は教室を飛び出した。 2.彼女は卒業するが早いか、結婚してしまった。 3.バスが着くが早いか、乗客は先を競って乗り込んだ。 4.主人の足音を聞くが早いか、子犬は駆け寄ってきた。 5.店が開くが早いか、お客はバーゲン会場に殺到した。 ★ 例題 ★ 1) (まもなく/ただちに)取引先からの電話がある(はず/つもり)なので、(入ったとたんに/入り次第/入るが早いか)、(まもなく/ただちに)教えてください。 2) 隊員たちは「○○地区で火事が発生!」( )の連絡を受けるが早いか、消防車に(乗る→    )込み、現場( )と急いだ。 (^^)前課の解答(^^) 1) ただ(副詞の語義)/あたかも/ように 2) と(~ときたら→文型229)/知っている/で

#045 *~かのようだ

045 *~かのようだ 名詞    : ×  / である    +   かのようだ 動詞・形容詞:普通形<ナ形 ー×> ♪ 会話 ♪ 祖父:自分の家での昔ながらの披露宴もいいもんじゃ。皆が集まると、昔に戻ったかのようじゃ。 祖母:でも裏方はもう大変。台所は盆と正月がいっしょに来たようでしたよ。 祖父:次男と末っ子にも、もう結婚相手が決まっとるかのようじゃったが、時が経つのは早いものじゃのう。 ♯ 解説 ♭  「~かのようだ」は「<実際はそうではないが>まるで~ようだ」(類似)を意味します。実際はそうではないことが暗示されているため、「~ふりをする」という意味や非難・軽蔑の感情を込めるときはこの文型がぴったりです。その際は「あたかも・さも」という副詞と結びつことが多いでしょう。例えば、「さも知っているような態度 」は「知っているふり」とほぼ同義です。なお、例文5のように「~ようだ」のかわりに古語「如し」(→文型083)が使われることもあります。 § 例文 § 1.寒いなあ。もう3月なのに、真冬に戻ったかのようだ。 2.新宿は不夜城の名にふさわしく、毎晩が祭りであるかのようににぎわっている。 3.彼女はペットの猫を、あたかも実の子であるかのように可愛がっている。 4.彼は毎日エネルギッシュで、疲れを知らないかのようだ。 5.この度の金融破綻が、全て政府・与党の無能無策から生じたかの如き主張は、我が党としては受け入れ難い。 ★ 例題 ★ 1) (ただ/ほん)の風邪なのに、(あたかも/実に)重病人であるかの(ように/ような)大げさに騒いでいる。 2) 彼( )きたら、さも何でも(知る→     )かのような口振り( )話す。  (^^)前課の解答(^^) 1) でも/ような(~ような+N)/兼ねる(~得ない→文型017) 2) と(「~としては」の謙譲の形→文型237)/に/応じ

#044 *~兼ねる

044 *~兼ねる 動詞:[ます]形  +  兼ねる ♪ 会話 ♪ 李 :今回の措置は少々理解し兼ねますので、よろしければ、説明していただけないでしょうか。 課長:色々と事情があってねえ。私の口からは説明し兼ねるから、佐藤君から聞いてくれよ。 佐藤:およその事情は存じておりますが、私には説明役は少し荷が重過ぎます。 ♯ 解説 ♭  「~兼ねる」は「心理的・感情的理由で~できない」を意味する表現です。「~できない」を意味する可能表現は下例のように色々ありますが、各項を参照してください。下例の中で「~得ない」は「~する可能性がない」を表すので、第三者のことでないと少し不自然ですが、意味の差は別にすれば、どれも使えます。→例題2)  お世話になった人の頼みだから、   断れない。   断り兼ねる。   断り得ない。     ( →文型017 )   断るわけにはいかない。(→文型457)   断り難い。  ( →文型034 ) § 例文 § 1.あなたの意見には、どうしても賛成し兼ねます。 2.その種のことは、同僚の僕の口からは言い兼ねるね。 3.今か今かと子どもの帰りを待ち兼ねて、何度も玄関口まで見に行った。 4.彼は能力はあるが、協調性がなく、私には扱い兼ねる存在だ。 5.当館では、傘の保管には責任を負い兼ねます。各自ビニール袋に入れてお持ちください。(張り紙から) ★ 例題 ★ 1) たとえあなたの頼み(なら/でも)、こんな歴史を歪曲する(ように/ような)本は推薦し(得ない/兼ねる)。 2) 当店( )いたしましては、申し訳ございませんが、その種のご相談( )は(応じる→    )兼ねます。 (^^)前課の解答(^^) 1) で(動作の場所)/しない(→文型203)/起こし(他V) 2) から/なけれ/繰り返し